Hira2’s.diary

そらはいつだって淡々としている――。

星のスミレ。

2017/03/18 0:00

とあるチェーン喫茶のメニューに「菫(スミレ)」がある。
軽く、200杯は飲んでいるだろう。
ホットミルクにあずきだ。ズルいくらいに合う。

一度、美味しいと思ったものは、ずっと同じものを注文してしまうタチである。

自分が入店するのを見て、スタッフたちも「おっ、スミレ君が来た。」なんて内心ささやいているかもしれないし、あるときは、「今日のスミレ君、鼻毛がでてるよ。」なんて、厨房で笑い転げているかもしれない。

花のスミレのように可憐な自分である。噂したくなるのも無理はない。
たまにトマトジュースで変化球を加えるも、やっぱり菫に帰結する。
それでも、ちゃんと毎度オーダーを取りに来てくれるのだ。とても有難いご時世である。

さて最近は、そんな飲食店もバイトの募集で、なかなか人が集まらないという。本当かどうか、その真意を探るべく、別の喫茶店の店長と雑談してみたのだ。
すると、こう嘆いていた。
「このまえ、携帯電話で話しているお客さまを注意したら、逆切れさてんですよ~」
バイトの話と全然関係がないじゃないか。変に同調を求められ、時間のムダだったのだ。上司たる者が、そんな風で頼りないから、バイトもすぐ辞めていくのだ。
このまま話していたら、「お金貸してください」と言われかねない。

はっきり言って、今の飲食店は、傍から見てても明らかに単調な仕事である。
「立ち食いうどん屋」のおばちゃんを見てみるといい。
まさに神業だ。
あのカウンターのお客さまは、何うどんに何をトッピングしたのか、
こっちのお客さまからは、いくら貰わなければいけないのか、
このお客さまは、前回、エビ一匹申告をズルした人だ、でもまぁ許してあげる。
なんてことを、同時併行に10人分のうどんを湯がきながら認知しているのだ。まだ食券も、電子マネーもない地域が今でもあるのだ。

にもかかわらず、お金の取りこぼしがない。
それは、お客さまがそのおばちゃんを尊敬しているからだ。

まかり間違っても、「番号札、〇番でお待ちのお客さま~」なんて言いながら、注文の料理をトレーに乗せたまま、店内をオロオロすることがない。
オーダーを取る人、料理を作る人、運ぶ人を完全と分離化してしまうと、面白みに欠けて、激務に感じる。

自分が同じものを注文するのは、まず自分を覚えてもらうためだ。
著名人の追っかけも、自分の名前と顔を憶えてもらわないと意味がないのと同じである。

今のオーダーを誰の為に作っているのか、はっきり認識させるだけで味は全く違ってくるだろう。
だから毎度、同じ菫でも、どんどん美味しくなっていく。
尊敬の念という双方のスパイスである。これがズルいくらいに合うのだ。

 

P.S.
お店側も、リーダー格となるお客さまを日々探している。

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