Hira2’s.diary

そらはいつだって淡々としている――。

昼下がりの眼差し。

2017/02/08 0:00

穏やかな空気が流れる喫茶店で、カフェラテを愉しむ。
カフェオレではない。

そこに、ダンディな老男が入ってきた。
バックからスマホを出し、「調子はどうお?」なんて、誰かに電話している。
こんな筒抜けの空間で、よく会話ができなと感心する。
高そうな服を纏っても、声が安っぽい。

近くに座っていた女性も、それまで微動だにせず本を読んでいたのに、気が散ったのか、髪の毛を撫でだした。
女性は、不安になると、自分の髪を撫でるらしい。

自分も不安になると、テーブルの上を綺麗に片付けだす。
もう、ここには戻って来れないかもしれないCAやパイロットの心境だ。

その老男は、会話が終わっても、また電話帳機能から誰かを探して架けようとしている。
さすがに堪忍ならんと、「すみません。ここで、ケータイは控えてください!」、
そう強く毅然と、心で念じた。

「出らんな~」と口走って、老男はスマホを置く。
よかった。願いが通じた。

そこに新た、変な空気を纏った三人組の男たちが入店してきた。
みな20代くらいで、この昼下がりに何をやっているのか。仕事はどうした。

明らかに、険悪なムードの喫茶店に成り下がってしまった。
かろうじて、自分が輝き放つ孤高の光で精一杯だ。

さっきの女性も、頭を撫でるスピードが増して、まるでハムスターになっている。
気が付くと、自分のテーブルも、来た時より美しい。準備万全だ。
あと、ストレッチもしておく。
相手は三人だ。マナーを注意して、逆上されたら、逃げるしかない。

すると、さっきの老男が先にそそくさと出ていった。
今日の敵は明日の友だったのに、裏切られた気分だ。

しかし、三人組の男たち、予想を裏切って猫のようにお行儀がいい。
声も小声だ。意外である。

ふと気が付くと、ハムスター女性がこっちをまじまじと見ている。
余程カッコいいらしい。

そうか喫茶店は、様々な人物像、つまり清濁をも併せ呑む場所だ
人を見た目でも判断しないし、器の大きい人は、やっぱり違うなという眼差しだろう。

調子が良くなったところで、追加注文した。
「無糖と加糖ございますが?」
「武藤さんや加藤さんではなく、田中さんで。」
すばらしいギャグだ。
しかし気が付くと、誰もいなくなっていた。

 

P.S.
人とギャグは、味わうほど深味がでる。

このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る

スポンサー広告

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

スポンサー広告