Hira2’s.diary

そらはいつだって淡々としている――。

「一枚の肉」の神隠し。

2016/11/03 0:00

この時期、繁華街のうどん屋の横を通ると、
換気扇から立ち込める熱気が、たまらなく気持ちよい。

けして、中に入って食べようとは思わない。
空腹で、そばを歩くからいいのだ。

ホルモン店や焼き鳥店の煙も同じで、
食べた満腹感よりも、その期待感に浸るだけでじゅうぶんである。

 

そんなとき、ある弁護士の、
「食えなかった時代、肉一枚の匂いだけで、まずごはん一杯をがっついたよ。」
なんて昔話を思い出す。

なぜそのとき、
じぶんが「へぇ~」と冷たくかわしたのかを考えてみた。

弁護士になれるくらいだから、出自は貧しくはないだろうとか、
一枚といいながら、分厚いサーロインなんじゃないのと、穿って感じたのか。

 

真意はさておき、
そんな悲哀のアピールが、立ち込める場違いの煙だったからではなかろうか。

店を後にしたときの、
「まあまあの味やったね。」なんて冷ややかな態度も、
満腹になって、ただ冷静になっただけだ。

 

おなかは満腹でも、
心がまだ空腹だ。

 

そして、これが一番キツイ。

熱気の渦と、煙に巻かれないためには、
この逆をやるのだ。

満腹よりも満足とでも言おうか。
それは、歩いているだけでも得られそうだ。

 

P.S.
匂いにつられた夫婦は、豚にされる。

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